アセルカデ
ブライダル事業者が知るべき最新の法令や、ブライダル業界に関わる時事ニュースをお知らせします!
【要注意】卒花・プレ花の投稿が『ステマ広告』として違法に?
「景品表示法」の運用変更に注意!
BRIGHT NEWS vol.119(2023/2/27配信)
2月24日に閣議決定された「フリーランス保護法案」について、最新情報を解説します!
10月1日より「ステマ広告」が違法となります!
去る3月28日に消費者庁から「景品表示法」の新たな運用基準が示され、本年10月1日より、いわゆる「ステルスマーケティング(ステマ)広告」が規制対象となることが正式決定しました。
「ステマ」とは、広告であることを隠し口コミや感想を装う宣伝活動を指し、消費者庁が示した「運用基準」によれば、
(1)事業者による表示で
(2)事業者による表示であることが一般消費者から判断しにくいもの
の双方を満たしたものと定義されました。
ブライダル業界においては「卒花・プレ花」と呼ばれる顧客の声を用いた広告宣伝がよく行われていますので、これがステマ広告に該当しないよう注意する必要が生じます。
では、具体的にどのような場合にステマ広告となるのでしょうか?
まず「(1)事業者による表示で」の要件については、事業者が「表示内容の決定に関与したかどうか」がポイントとなります。
卒花さんによるSNS投稿等を例に挙げてみると、
・事業者から「うちの式場の良さを紹介する投稿をしてください」等の依頼があり、卒花さんがSNSで依頼に沿った投稿をした場合
・事業者から卒花さんに金銭や無償ディナー等の経済的利益の提供があり、暗黙の了解として卒花さんがSNSで事業者を利する投稿をした場合
などが、ステマ広告に該当する可能性が出てきます。
一方で、
・卒花さんが、事業者からの働きかけはない中で、自らの感想をSNSに投稿した場合
・事業者が、自社施設について投稿してくれた卒花さんに景品をプレゼントする場合
などは、ステマ広告には該当しません。
次に、「(2)事業者による表示であることが一般消費者から判断しにくいもの」の要件についてはどうでしょうか。
これは、仮に「(1)事業者による表示で」の要件を満たしたものであっても、卒花さんによる投稿に「広告」や「PR」などの表記がされていれば、一般消費者が見ても「これは卒花さんが投稿しているけど、実際には事業者の広告の一環なんだな」と理解することができるため、ステマ広告には該当しません。
ただ、「広告」や「PR」などの表記が小さい文字でなされるなど見づらいケースや、多数のハッシュタグに埋もれた形で表記するケース等は除外されることになります。
なお、ステマ広告と認定された場合には消費者庁から措置命令が出され、事業者名が公表されます。またこの命令に従わない場合には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は両罰規定で最大3億円が科される)の罰則が科されます。ただ「景品表示法」が規制対象としているのは事業者に限られ、ステマ広告に関与した卒花さんに罰則等が科されることはありません。
ブライダル事業者にとって、実際に結婚式を担当させていただいたお客様や、式場を選んでくださったお客様の「声」は営業上とても貴重なものですが、10月1日以降は上記の規制が始まりますので「景品表示法」違反とならないよう注意が必要となります。
2.「ブライダル法務講座<初級編>」がいよいよ開講します!
すでにご案内の通り、この4月に新たにブライダル業界の仲間となった方々に向けた『ブライダル法務講座<初級編>』を5月17日に配信いたします。
なかなか学ぶ機会が限定される「ブライダルで働く上で必要な最低限の法律知識」を効率よく学べる機会ですので、是非とも皆様の部下または後輩の皆さんのご受講をご検討ください。
【ブライダル法務講座<初級編>】
2月25日付日本経済新聞の報道によると、個人事業主(以下、フリーランスといいます。)を保護する法案が24日に閣議決定されました。
この「フリーランス保護新法」は一時昨年の臨時国会での成立が見込まれていましたが、「フリーランスの定義が曖昧」等の一部批判が出て棚上げとなっていました。しかし今般ついに閣議決定されたとのことで、一気に今国会で成立する公算が高まってきました。
ブライダル業界に限らず、企業とフリーランスとの契約や、企業からの発注行為が「口頭」等簡易的な方法でなされることが少なくなく、これにより後日トラブルが発生しやすくなり、また発生しても立場の弱いフリーランスが泣き寝入りを余儀なくされているという実態を踏まえ、新法では、発注する側に、予め契約書等によって「報酬額」「納期」「仕事の範囲」等を明記することを義務付ける方針です。
また、もしこれに従わない場合には、国から立ち入り検査や勧告、公表、命令等がなされる可能性があり、命令違反には罰金が科されることになりそうです。
(注:現時点での報道を受けての情報です。今後変更する可能性があります。)
ブライダル業界においてホテル・式場(または司会事務所等)がその他事業者に発注する取引についてはもともと「下請法」の規制があり、発注主という有利な立場を悪用して下請側に無理を強いる行為の一部は禁止されていました(禁止対象の例としては「おせち」等の強制販売、不当な買いたたき、度を越えた協賛金の支出要請等です。)。
しかし「下請法」が適用されるには、発注者側が一定以上の資本金を有する法人である必要があり、仮にその条件に当てはまらない発注者が下請事業者に無理を強いることがあっても「下請法」では保護されないという課題がありました(ただし「独占禁止法」の規制が及ぶことはあります)。
特に近年フリーランスとして働く人たちが増加してきた中、そうした背景もあって国は「まずはフリーランスを徹底して保護しよう」とこの新法が検討されています。そのため新法では「下請法」のような資本金制限は加えられない見込みで、発注者側の規模を問わず新たな規制が適用されることになりそうです。
もしこの新法が報道の通りの内容で成立し、施行された場合には、ホテル・式場等の「発注する側」は発注のあり方が新法上の要件を満たしているかどうかのチェック、そして所要の修正が必要になりますし、フリーランスとして司会・ヘアメイク・フォト等を「受注する側」としては、予め契約内容を特定することができ、法的な保護が及ぶという意味でより安心して取引ができる環境が生じることになりそうです。
ブライダル業界にも非常に大きな影響を与えそうな「フリーランス保護法案」の動向については、追ってご案内してまいりますので是非ご注目ください。
※ご注意:掲載されている法務情報は「投稿日においての最新情報」となりますので、法令の改正等により状況が変わっている場合がございます。
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